MUG IS KING

イギリス人の紅茶飲みは今さら言うまでもないだろう。がしかし、一体どれくらいの量が国内で飲まれているか、想像できるだろうか?6700万の人口にして、1日に165,000,000カップ(1.65憶)だそうである。それでも世界で2番目の紅茶消費量だそうで、トルコ人はさらにその上を行くのだそうだ。

紅茶はMUGで飲む

イギリス人は紅茶を飲もうという時「a cup of tea」とか「cuppa」と言うが、実際にはティーカップと受け皿を使うことはめったになく、4分の1のイギリス人に至っては全くないと言う。90%の人はmug(マグ)を愛用している。日本ではマグカップと呼ばれる。

多くのイギリス人は紅茶の受皿は使いづらいと感じている。とりわけ職場では。マグは350ml、ティーカップは250mlを容し、一杯で喉の渇きを癒してくれ、マグを片手に仕事を続けることも容易だからだ。

MUG =顔

この mug(マグ)という言葉は古いスカンジナビア/ドイツ語の mugge から来ている。飲み物を飲むためのシリンダーの形をした取手付の容器のことだそうだ。

1700年頃のイングランドでは funny face(面白い顔)が施されたmugが人気で、それらは今も存在する。そしてこの mugという言葉はやがて face(顔)と言う意味を持つようになる。犯罪者が警察で撮られる顔写真は mugshot(マグショット)。mug =顔 のスラングとなるのだ。

盗難に遭ったことを I was robbed と言うが、強盗が顔を攻撃することが多かったことから、I was mugged とも言う。路上強盗は mugger。そしてmugは「ナイーヴな人、純粋過ぎる人」を指すスラングでもある。

「Harry Potter」の著者、J.K. Rowlingはその人気著書の中でたくさんの魅力的な造語を産んだが、その中の一つが muggle (マグル) である。Muggle とはとても ordinary(普通の)魔法を持たない者、つまり「人間」のことを言うのだ。

英国紅茶文化

Teaという言葉はもちろん英語が語源ではなく、中国から渡った外来語である。1600年頃(シェイクスピアの時代)には cha と呼ばれ、1650年頃には Tey、1750年頃に現在のTeaとなる。

Kettle(ケトル)はラテン語の cattilos=boiling hot(沸騰)。mug(マグ)はスカンジナビアンの mugge から。紅茶の茶葉はインドからもたらされたもの。こうしてみると、紅茶のアイテムにイギリスオリジナルと言えるものはあまり無い。だが、異なる文化から抽出した物やアイデアを結び付け、独自のコンセプト を come up with(思いつく)のが得意なイギリス人は、そのブレンド力、デザイン力、商売上手を大いに発揮して、英国紅茶文化を開花させるのである。

カップに handle(取っ手)とsaucer(受け皿)というアイデアは18世紀半ば、Robert Adamsというイギリス人によって考案された。それによって女性のデリケートな指をやけどから守ると共に、見た目も美しく楽しい紅茶アイテムが登場した。

そしてイギリス人は紅茶にミルクを注ぎ、砂糖を入れるという飲み方を生み、今でもイギリスでは98%の人が紅茶と言えばミルクティーが当たり前。紅茶が先か、ミルクが先か、などという議論まであるくらいだ。砂糖を使うという習慣については30%位に減少したらしく、オーバーウェイトが気になるイギリス人には歓迎すべきことと言えるだろう。

Steveお気に入りの紅茶ブランド

イギリスで最もポピュラーな紅茶のブランドは、P.G. Tips。次にYorkshire tea。Tetleyと続くそうだ。イギリス人は1年に平均2kgの紅茶を飲むと言うから、もし5人家族だったら10kgにもなる。だから高価なブランド紅茶は飲まれない。僕自身はYorkshire teaがお気に入りだが毎日何杯も飲むには若干pricy(値段が張る)だ。安くて子供の頃から馴染み深い我が家の紅茶と言えばSainsuburyのRed label だろう。If I splash out(もしお金を惜しまない)するなら、Wiliamson and Magor(ケニヤ産)のEnglish Breakfastはお薦めだ。

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