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2011年11月

GRIM UP NORTH

北の暮らしは楽じゃないのだ

GRIM=(風土・生活などが)厳しい
UP NORTH=「イングランドの北」を指して言う (DOWN SOUTH=イングランドの南)

イギリス人同士は、極端に言えば相手の放つ一言で「彼がどこから来たか」「どういう学歴の人間か」がわかると言う。言葉は空恐ろしい履歴書である。だが大抵のイギリス人は自分がどこから来たのかを隠そうとはしない。聞いたこともないような小さな街に育っても、どんな階級であっても「Where I come from, Who I am」を誇りに思っている。

私たちは観光者レベルでイングランド人とスコットランド人、ウェールズ人等々の違いについては何かしらイメージを持っている。だがイングランド内でさえ10マイル歩くと異なるアクセントが聞こえ、異なる街の文化に遭遇する。「イングランド人」とひとくくりにしたのでは納得しない人もいるだろう。特に北においては!

イングランドを大まかに二分するとNORTH EAST(北東)とSOUTH WEST(南西)ということになるが、その境界線は地理的に区切るか、文化的に区切るかによって変わってくる。正確には北と南の間にはTHE MIDLANDS(中部)と呼ばれる地域がありLONDONに次ぐ第2の都市、BIRMINGHAMがある。これが北に属するか南に属するかは議論の分かれるところだが、そのdistinctive(特異な)アクセントとヘヴィメタルのメッカというイメージ相まってか、北の人は「They’re South.」と言い、南の人は「They’re North.」とジョークが飛ぶらしい。

北の産業は伝統的に重工業・漁業が主であり、南はLONDONを中心とした金融で、北の平均的な収入は南に比べ低い。厳しい気候を反映してか人々の気質もdour(むっつりとして)で、down to earth(地に足のついた)性格を持つ。それでいて彼らは南の人間よりfriendly & kindであることを自負している。

ユーモア混じりに彼らは言う。「南の人間はeffete(軟弱)で、cocky(気取っている)なのさ」と。名声を求めて自分以外の何者かに容易に転換できるその器用さをsocial climber(なりあがり)的に見る人もいる。がしかし、それは世界的に見ても資本主義社会が生む当然の傾向と言えるだろう。それだけ北の人間は頑固者なのである。誇り高き北の労働者階級の人間は名声や権威にへつらうことが大嫌い。中産階級なんぞに対する憧れなんぞ毛頭ない、というのが一般的な態度なのである。

北の代表的な都市、Liverpoolと Manchesterは小さな街を間にはさんで隣同士だが自他共に認めるライバル同士。互いの街を行き来していながらアクセントもキャラクターも違う。Liverpudlian(リヴァプール人)のニックネイムはScouserと言い、昔ノルウェーの船乗りが食べていたマトン/又はラムシチューの名前から来ている。MancunianのニックネイムはManc。両者のさらに北にあるNewcastleのニックネイムはGeordieと言う。プレミアリーグのフットボールプレイヤー、アシュレイコールのワイフでシンガーのシェリルコールはNewcastle出身で「アメリカンアイドル」で審査員を務めたが、Geordieアクセントがアメリカ人には理解できずすぐに降板となった。


イギリスが世界に誇る輸出産業の一つとも言うべき音楽の中心地はLONDONに限らない。各地にインディペントのレコードレーベルが存在するし、多くのミュージシャン達が北の小さな街からも次々と生まれてくる。Liverpoolの面積は世田谷区の2倍程度に過ぎず人口はその半分。ライバルのManchesterもそう変わらない。こんな小さな街でそれぞれが独自の音楽カルチャーを築き世界へ発信しているというユニークさ。アークティックモンキーズのようなバンドがYorkshireアクセント丸出しでチャートを征しているのだ。

ラグビーにまつわるこんなエピソードがある。ラグビーは元々イングランドのパブリックスクールで紳士たちのアマチュアスポーツとしてスタートした。北は製造や炭鉱労働者たちを集めてチームを作り紳士チームに対抗、北は次々と南を打ち負かしていった。だが、試合に出るために仕事を休まなければならなかった北は失った生活費を穴埋めするためにいくらかの入場料を取らざるを得なかった。南のラグビー協会は試合を通じてお金を稼ぐことを禁止する。裕福な紳士たちのチームは試合に出場するためにお金を必要としなかったのである。そこで北は南のリーグから離脱して23のクラブチームによる独自のNORTHERN RUGBY UNIONを結成。南はRUGBY UNIONを結成する。

両者のルールは若干異なる。今年ニュージーランドで開催されるワールドカップは後者のものである。1979年、ニュージーランドの強豪ナショナルチームALL BLACKS(マオリ族の出陣の踊り、ハカで有名)がイングランド遠征試合で13の試合を行い、イングランドやスコットランド代表を含む全てのチームをことごとく負かした。この時、異なるリーグから臨時に結成された北のチームが対戦し、21対9、フルメンバーで臨んだALL BLACKSを負かす唯一のチームに輝いたのである。厳しい生活に耐えてきた猛々しい北のスピリットがBLACK GOLD(黒い宝石=石炭)のように輝いた瞬間だった。