「スィート&セイヴァリーな英国」レポート

TASTE OF BRITAIN-2 「スィート&セイヴァリーな英国」と、ややこしいイギリス英語。

桜の花を見納めた4月半ばの日曜日の午後、エイトリアムの教室は再びティールームに変わり、英国菓子と、フィンガーサンドイッチと、イギリス人が一番好きなサンドイッチと称する「チーズ&ブランストン・ピクルス サンドイッチ」の試食を行なった。そしてイギリス人が用いるteaやdinnerという言葉についてちょっとためになるお話も。

What’s for tea?

実はこの「tea」、お茶のことではない。「tea=夕食」を意味する。スコットランドを含むイギリス北部で主に使われる表現であり、dinnerと呼ぶのが一般的なイギリス南部にあってロンドンでも多く使われているらしい。イギリス国内において50-50の割合で使われているというから、これまで知らないでいたことに驚いてしまう。

High tea, Low tea

イギリスには、high tea とかlow teaと呼ばれる、ある食習慣の呼称が人知れずある。人知れずと言うのは、そんな呼び名は知らないというイギリス人も多いからである。highとかlowと言うのはテーブルの高さから来ている。
High teaのhighはダイニングテーブルのような(背の)高めのテーブルのことで、teaは前述したように「夕食」のことである。労働者階級の人が仕事を終えて帰宅する5時~7時頃にダイニングテーブルで頂く少し早めの夕食のことを言う。
Low teaは、ソファや座り心地の良い低めの椅子に腰かけ、コーヒーテーブルのような「背の低い」テーブルでゆったりと頂くちょっと優雅な、文字通り「お茶」の時間のこと。元は上流階級の習慣であり、現在私たちが呼ぶところのAfternoon teaのことだ。Afternoon teaは今や英国ライフスタイルの代表格だが、low teaやhigh teaと言った呼び名は誰が言いだしたのか。Teaの意味を混同しないための呼称だろうか?

dinnerはランチタイムに食べる?

「Tea=夕食」と呼ぶ地域があると先に話したが、英語で「夕食=dinner」と信じている日本人にとってややこしいのが、イギリスではdinnerについて、「一日のうちのメインの食事のこと」という認識があり、その時間は夜に限らないということである。多くの人達は「昼間」に食べる食事をdinnerと呼ぶ。
学校で昼間に食べるのはschool dinner, その食費はdinner money, 食事を用意してくれるのはdinner ladyなのだとか。そして、学校から帰宅する5時位に空腹を満たすために食べる早めの食事は学生にとってのhigh teaである。ああ、なんだか本当にややこしい。
とは言っても一般的にdinnerは夕食のことを指すことに反論の余地はなく、話し相手によってteaと言うか、dinnerと言うか、切り替えるらしい。

スィートな英国菓子と、セイヴァリーなサンドイッチ

さて、今回杉本悦子先生に作って頂いたケーキも、なかなかお店では食べることのできないものだ。
COFFEE & WALNUTS CAKE
BAKEWELL TART 2種

そしてスタッフが文献片手に試食を重ねて奮闘したトラディショナルなきゅうりと玉子のフィンガーサンドイッチ。イギリス家庭の常備品、branston pickles(ブランストン・ピクルス)とチーズをはさんだ、チーズ&ブランストン・ピクルスサンドイッチの試食。savory=甘くない、ちょっとピリッとするようなテイストで、イギリス人が最も好きなサンドイッチなのだとか。

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