イギリス的ダークな祝祭、ガイフォークスナイト

1605年11月5日 大逆が未遂に終わったことを祝う日

ハロウィーンが終わり、カレンダーを1枚めくるとまもなくイギリス各地の夜空には無数の花火が打ちあがる。「ガイフォークスナイト」別名「ボンファイヤーナイト」である。

ガイフォークスとは?

今から400年以上前。エリザベス1世からジェイムズ1世(スコットランドでは6世)に変わって間もなくのこと。ヘンリー8世以来、英国国教会を正教とする流れの中で長年の迫害に不満を募らせていた急進派カトリック教徒がイングランドを再びカトリックの国に戻そうと国王暗殺を企てた。「火薬陰謀(Gunpowder plot)事件」である。国王を議会もろとも爆破しようと大量の火薬をウェストミンスター寺院の地下に運び込んだが、その目論見は内通によりあえなく未遂に終わってしまう。ガイフォークスはそのメンバーの一人の名前だ。1605年11月5日。このテロ画策から救われた国王を祝い、毎年11月5日は「ガイフォークスナイト/Guy Fawkes Night」または「ボンファイヤー/Bonfire Night(かがり火)ナイト」と呼ばれるお祭りとなったのである。

フォークスは、かつて赴いたスペイン戦争での火薬や導火線の知識を買われ熱意を持ってこの計画に参加することとなったのであるが首謀者ではなかった。この計画を立てたのはロバートケイツビーだが、フォークスが火薬と共に最初に見つかったことから事件以来400年に渡ってイギリス各地で火あぶりの刑に処され続けている哀れなテロリストなのである。

大逆を企てたガイフォークスとその仲間

大逆を企てたケイツビー、フォークスとその仲間

 

ガイフォークスナイトに何をするのか?

古着に詰め物をしてガイフォークスに見立てた人形を貼り付けにして練り歩き、夜になると焚火で燃やす。空には花火が打ち上げられたり、庭で花火をする家庭もある。ひと昔前までは、子供たちが人形を連れて通りに繰り出し小銭集めをし、「Penny for the guy?(ガイにペンスを)」と、集めた小銭で花火を買ったり、マシュマロやポテトを買って人形を燃やす火で焼いて食べたりしたそうだが、近年は町を挙げての大掛かりなイベントになりつつあるようだ。

過激なLEWESのボンファイヤー

コロナ禍で中止や縮小をやむなくされた前年までと違い、今年のガイフォークスナイトは派手に行われることが予測されている。中でもサセックス州のルイス(Lewes)では1555年~1557年にかけて、17人のプロテスタント殉教者が火刑に処された歴史があるため、この日はかなり過激なお祭りとなる。

シェイクスピアとの関わり

この事件が起こった年1605年は、シェイクスピアが41歳の時である。シェイクスピアの父親は隠れカトリック信者であったらしく、この火薬陰謀事件の首謀者、ケイツビーの父親との間に交友があったと言われている。またこの事件との関わりを恐れたシェイクスピアはその疑惑を払拭するためマクベスに登場するダンカン王のイメージを実物とはかなり違う人物像に創り上げ、ジェイムズ1世に気に入られたとも言われているが、真偽のほどはわからない。

フォークスの生家がパブになる!

フォークスは1570年にヨークで生まれた。彼の両親がフォークスの誕生時に住んでいた家が、近々パブとしてオープンすることが最近発表された。経営するのは、イギリスでも有数のビア/クラフトビアを醸造し、パブをも経営するThornbridge and Pivovarである。パブの名前は Fawkes And The Tiger. この界隈にアルコール客がトラブルを持ち込まないよう、価格は高めに設定しクオリティ重視を戦略としているそうだ。

ガイフォークスのマスクは今や匿名抗議の象徴

ガイフォークスと言われてぴんと来ない人も、そのマスクはどこかで見たことがあるかもしれない。2005年に公開されたナタリーポートマン・ヒューゴウィービング主演の映画「V for Vendetta」に登場する「Vendettaのマスク」はイラストレーターのデビッドロイドがそれまでのガイフォークスのイメージを映画のためにデザイン化したものであり、ハッカー集団のアノニマス他、匿名で抗議する集団により使われている。

ガイフォークスのマスク

匿名抗議のシンボルとなったガイフォークスのマスク

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